シリコンバレーでは当たり前の『エレベーターピッチ』とは?


エレベーターピッチは、日本ではあまり知られていませんが、世界有数の企業が集まるシリコンバレーでは日常的に使われています。今回は日本のビジネスパーソンも知っておきたい、エレベーターピッチとその考え方をご紹介します。

エレベーターピッチとは?

エレベーターピッチとは、「15秒~30秒程度の短い時間で相手をひきつけるビジネストークのこと」です。シリコンバレーでは、エレベーターの中でたまたま出会った投資家に対し、自社のサービスを目的階に着くまでの10秒程度でプレゼンすることが頻繁に行われていました。

たまたまエレベーターに乗り合わせた、非常に短い時間もビジネスチャンスとして活用するための能力がエレベーターピッチなのです。

エレベーターピッチとは、「15秒~30秒程度の短い時間で相手をひきつけるビジネストークのこと」

エレベーターピッチは、数秒程度の限られた時間のため、内容の簡潔さや明瞭さだけでなく、適切なトークスピードも求められます。時間が短いため、焦って早口になってしまうと、相手へ内容をうまく伝えられず、目的を達成できません。

エレベーターピッチを身につけるメリット

ビジネスシーンでエレベーターピッチを身につけるメリットはなんでしょうか? 大きなメリットはプレゼン力の向上です。プレゼンに必要な3要素の向上が見込めます。

① 伝える力

エレベーターピッチは、トークのみで相手を説得し、目的を達成するプレゼンです。普段のプレゼンテーションのように、パワーポイントなどの資料は一切ありません。

つまり、資料などのサポート要素がないので、伝える力がとても重要なのです。

相手のニーズを察知し、相手が理解できる言葉を選ぶ。そして、相手の興味を引き付け、最終的に決断させる。これらは伝える力なしでは、叶えられないのです。

② 情報処理能力の向上

限られた時間の中で効果的なプレゼンを行うために必要なことはなんでしょうか?

それは、情報を整理し取捨選択する能力、つまり情報処理能力です。重要な情報を整理して、伝えるべきポイントに絞って話さなければ、秒単位のプレゼンは成功しません。本質を見極め、必要な情報だけをピックアップする能力、つまり情報処理能力が不可欠なのです。

③ 対応力

エレベーターピッチを成功させるためには、相手のニーズと相手のリテラシーを把握することが重要です。

例えば、パソコンの購入を考えている人に売り込みをするとき、相手のニーズは条件に合うパソコンを購入することですが、この人がパソコン自体に対して理解があるのかによって使う言葉を変える必要があります。

相手がある程度パソコンに精通しているならば、CPUやコアといったパソコン用語を使えますが、理解していない場合は、バッテリー持続時間やメモリの多さなど、日常で使う言葉を使ったほうが理解できます。

このように瞬時に相手の目線に合わせた言葉選びができる対応力も身につけることができるのです。

エレベーターピッチの考え方

エレベーターピッチの考え方には、大きく5つの流れがあります。

  1. GTCメモの作成
  2. 3つに分類
  3. 具体性をもたせる
  4. 専門用語を相手によって調整する
  5. 繰り返し練習する

① GTCメモの作成

GTCメモとは、「Goal、Target、Connectの頭文字を取ったもので、整理すべきポイントを書きだすメモ」です。

  • Goal:伝えたい目的と自分のニーズ
  • Target:伝えたい相手と相手のニーズ
  • Connect:GとTをつなぐアプローチ

Goal=伝えたい目的

エレベータピッチで目指すゴール、つまり自分のニーズと目的を明確にします。例えば、あなたが家電量販店でカメラ販売をすることになったとします。この場合、目指すべきゴールは「それぞれのユーザーに合ったカメラを販売する」ことです。自分の目的=相手に起こしてもらいたい行動となるように設定しましょう。

Target=伝えたい相手

次に、エレベーターピッチを行う相手とそのニーズの設定です。先ほどと同様にカメラ販売を例に説明します。

  • ターゲット=新たにカメラ購入を考えているユーザー
  • ターゲットニーズ=スマホのカメラ機能では満足できず、趣味としてカメラが欲しい

ここでのポイントは「スマホのカメラ機能では満足できず」という部分です。スマホのカメラ機能ではカバーできない性能や写真の美しさを求めている可能性が高いと言えます。また、既にカメラを持っている人ではなく、趣味として購入検討している人のため、コストパフォーマンスや初めてのカメラとしてどのように優れているかを訴求した方が良いでしょう。

Connect=GとTをつなぐアプローチ

最後に、伝えたい目的と伝えたい相手をつなげていきます。相手のニーズと行動(自分の目的)を結びつけるような要素を、カメラ販売を例に考えましょう。

②で設定したニーズは「スマホのカメラ機能では満足できず、趣味としてカメラが欲しい」でした。頻繁にスマホのカメラを利用しているユーザーであり、初めてカメラを購入すると仮定します。その場合のConnectは以下のようなことが想定できます。

  • 「趣味としてカメラを始める人に人気」
  • 「シンプルな作りで初心者でも非常に使いやすい」
  • 「Bluetoothでスマホと連携可能」
  • 「軽量、防水仕様で持ち運びに便利」

② 3つに分類

GTCメモを作成したら、それら3つに分類しプレゼンを構成します。

  1. 『フック』
  2. 『ポイント』
  3. 『クロージング』

フック

フックとはツカミのことです。相手の興味を誘うような文を設定して、プレゼン内容へ相手の意識を向けましょう。GTCメモのTargetの部分をより相手の興味を誘うような文に変換するとうまく構成できます。

例えば、先ほどと同様のカメラ販売の場合、「今1番人気の新製品をご覧になりますか」「これからカメラを始める方にぴったりの人気商品をご覧になりませんか」といったフレーズが考えられます。

ポイント

次に、GTCメモのTargetとConnectの部分を整理しながら、まとめます。ダラダラとした印象を与えないために3〜5個程度にまとめましょう。相手に合わせて順番も意識しながら構成するのがポイントです。

クロージング

クロージングは、相手にこちらのニーズ通りの行動を起こしてもらうための部分です。相手に「行動しなくては」と思わせるようなフレーズを入れる必要があります。

例えば、「残り3点の人気商品なのでお早目に(希少性)」「今だけの特別価格(損失回避の原則)」「プロのカメラマンの愛用者が多く高評価を得ている(権威への服従)」などが考えられます。

③ 具体性をもたせる

エレベータピッチにおいて重要な要素のひとつに「明確さ」、つまり「分かりやすさ」があります。分かりやすく伝えるためには、具体性が重要です。数値(定量データ)を使うことで、具体性が増します。

例えば「画像保存数が多い」とだけ伝えるのと「およそ10万枚の画像が保存できます」と伝えるのでは、イメージの沸き方が異なります。後者のほうが数値のインパクトだけでなく、具体的に容量の多さをイメージすることができます。

④ 専門用語を相手によって調整する

専門用語を使うことで、短く、より多くの情報を相手に伝えることができます。しかし、専門用語を入れることで、プレゼン内容が感覚的に理解できづらくなります。そのため、相手にとって、一番ちょうど良い言葉を選ぶことが重要なのです。

⑤ 繰り返し練習する

ビジネスシーンで最大限のパフォーマンスを発揮するためには、繰り返し練習が必要です。実際にエレベーターピッチを作成したら練習しましょう。

プレゼンを頭の中で練習するのではなく、声に出して練習するのがベター。さらにボイスレコーダーを利用して、自分のプレゼンを録音しておくと◎。録音した音声を聞きながら、内容や話すスピードを確認しPDCAを回すと精度が増します。

本番実施後は相手の表情や反応を見ながら、振り返りをしてプレゼン力を磨いていきましょう。

おわりに

世界一短いプレゼンー『エレベーターピッチ』。アメリカのみならず世界各国の精鋭が集まるシリコンバレーで実践されるビジネススキルは、日本のビジネスシーンにおいても非常に有効です。

『エレベーターピッチ』を磨くことでプレゼンだけでなく、あらゆる場面で最大限のパフォーマンスを発揮できるようになるはずです。精鋭たちが実践するビジネススキルを身につけて、ビジネスチャンスをしっかり掴んでくださいね。

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